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行き先に迷った。

だから模索した。

​その結果。

Minus

WANOPO REMIXES’02
[MINUS-P PLAYED]

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A、制作の経緯、コンセプト
B、各曲について 
C、アートワーク
D、総評
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A、制作の経緯とコンセプト

毎年ナンバーズ(ワンオポVOL.01〜19)を制作する前の年明けくらいの時期に、新譜の構想を練ったりしてるんだけど、2023年の年明けくらいに19の構想を練るために始めたのがこのREMIXES’02の起点。このアルバムにも収録した「SI・RI・TO・RI」が2023年の正月休みにモジュラーシンセで遊んでたら原型が出来て、そこから「モジュラーシンセでアレンジしたリミックスアルバムが作れたらワンオポに足しになるな、と思って制作を進めていった。録音、アレンジ、調声などの技術向上のための練習ついで、っていうと言い方悪いか。最近でいうと、「にっこりシングル」の時とかもこの要素が含まれてる。

ただ、実際に制作を進めていくと、制作依頼やなんやかんやで、一旦凍結せざるを得ない状況になった。モジュラーシンセも偶然の産物が生まれるのを待つかんじで、意外と時間がかかってしまって、悪戦苦闘。2023年3月4月の時点では、リモコンをモジュラーシンセでアレンジしたバージョンが何パターンかあったけど、全部お蔵入りにした。おぽsの皆からもらったリクエストにも早く答えたかったんだが、新譜(VOL.19)の制作に入り、案件の合間にちょこちょこ進めて2024年春にリリースできることになった。なので、vol.20のアイデア出しという意義のアルバムになった。

 

「モジュラーシンセでアレンジしたリミックスアルバム」には変わりないけど、実際にモジュラーシンセの音が入ってる曲は、少なくなった。0ではないところがまだ救いなことと、モジュラーのランダム性に近いものをPCでできるようになったこと、得られた結果が予想と全く正反対の結果の「次の方向性」が見えることになった。それらについて曲ごと解説の中で書いていく。

B、各楽曲について。

Tr01.くるっちまったあたまにわ-化 Remix- ft.レン

えすくんからのリクエストを受けて。モジュラーシンセの音をうまくキャプチャーできた成功事例。イントロのベースの音がそれで、めちゃくちゃノイジーなのが聞いてわかると思う。ベースのシーケンサーに乱数を用いてフレーズと、波形が変わるようになってるからいいかんじのものが出るまで、録音を繰り返すのね。時間かかった。結局は、いいかんじのところを切ったり貼ったりしたわけだけど、スリリングさは感じられる。

ベースは、noize engineeringのmanis iteritas、ドラムは、キックにNoise engineeringのBasimilus itritas Alter、ウワモノでMutable instrumentsのPlaits、ベースのシーケンスは、vermona melodicerを使った。melodicerは日本にあんましなくて確かカナダから取り寄せた。アルバム通してmelodicerは大活躍だった。完全なランダムではなくて、コントロール可能なランダム。

 

下記は、Manis iteritasとmelodicerのセッション。

ギターはファズのJHSのMUFFULETTAでナインインチネイルズとかのかんじを目指して。

 

レンの声に関しては、V4Xで調声しなおして、歌詞をボツにした方を一部採用した。Spotifyで表示できるとおもう。他の曲でも歌うキャラに合わせて歌詞は変えてある。

 

このアレンジができたときは、超テンション上がってたな。オレ

天才かよ!って

 

しかし、モジュラーをうまくキャプチャーできたのはほぼこの曲のみとなるのであった。…くっ

Tr02.Alien ft.初音ミク

SONICWIREの企画で、ソフトシンセ「AVENGER」のレビュー時に書き下ろした曲。ところでSONICWIREってクリプトンが運営してるのはみんな知ってた?

シンセベースの音がエイリアンの声っぽいから、このタイトルにした。

この曲は、ギターとボーカル以外、すべてAVENGERで作ってて、モジュラーシンセの音はなってない。
しかも、リミックスでもないのに、アルバム2曲目かよ!って今でも思うけど、アートワークを担当して頂いたSHARKさんに「収録曲はミク主体なので、ジャケットはミクっぽいかんじのキャラで」と言ってたんで、ミクちゃまの曲をここに入れないと収まらんやろ、ということでこうなった。一番アートワークに似合う曲だった、ということわけ。

1サビ終わりのギターのリフがお気に入り。ファジーでくそかっこよくね?

この曲ではAVENGERの使い方を学んだ。特に得るものは曲からも手法からもないが、モジュラーのおかげでこの複雑なシンセを使いこなせるようになってたな。3年くらい前のオレなら厳しいものがあった。

SONICWIRE AVENGERレビュー:https://sonicwire.com/news/special/interview_avenger_minus-p

Tr03. バンビ-傷 Remix-ft.裏命

今年(2024年)のボカチバ用にリミックスしたのが原型。そこから多少手を加えてこうなった。

 

ボーカルグリッチに、Logic10.8のBeat breakerっていうプラグインの練習で使用した。めっちゃよかったな。モジュラー的要素を感じてこれは収穫だった。今後のワンオポにも登場しそう。

 

されど、この曲もモジュラー音はなし。

使ったシンセは、AVENGER2。2になってモジュラー的要素が増えて、モジュラー実機を使わなくていいじゃねえぇかってなって今に至る。

実機は、電源入れてから30分くらいしないとチューニングも安定せんし。

 

尺が短いのは、フルだと刺激が維持できなくてやめた。この短さがいいと思ってる。刹那。

 

このサビのアレンジを思いついた時点では、「てんさいか」ってなって(以下略

Tr04. MIDI MASTER!! -波 Remix-  ft. 鏡音リンレン

ゆうかむくんのリクエストから。リモコンもそうなんやけど、MIDI MASTERもリミックスを含め、リアレンジ、リミックスが1、2を争うほど多く、ネタがあまりなかったので、チャレンジだった。ぶっちゃけリクエストがきたときは、「むり…」って言おうかなって思ってた。

 

しかしながら、モジュラーシンセをあてがってたら、このグリッチポップの路線の原型ができたので、膨らませた。実際にはモジュラー実機の音はなし。全てAVENGER2。このあたりで、冒頭に書いた制作当初の目標の「モジュラーアルバム」の構想は崩れ去る。AVENGER2とBeat breakerで代替できることを覚えた。

 

リンク先はLogicのBeat breaker。のチュートリアル。DTMに興味のあるおぽsも少なからずいるので、紹介しておくね。結構いじり倒したからdiscordで質問くれてもいいよ。

https://www.youtube.com/watch?v=rDBsD5z0bG0

 

最後の最後で出てくる生のベースがうまくはまって、天さ

Tr05. いいえ、彼女の夢ではありません-交 Remix-ft.重音テト

みかん倉庫ちゃんからのリクエスト。渋いリクエストで、テンション上がって初期に手をつけた。もとよりこの曲は、アレンジに苦労していた経緯もあり、切り刻みやすかった。原曲も前半後半で違うでしょ。あれって、どっちかが元のアレンジで、やってるうちに飽きて別アレンジが思い浮かんだ成れの果てで。歌詞的に許せばこの入れ子方式を採用してる。最近で言えば、「変化」(VOL.19)とかもそう。

 

その成れの果てを、さらに「果て」に行かせるためにモジュラーをあてがってみていいかんじになったので、英訳したものをミクに歌ってもらったバージョンがSoundcloudに上がってる「いいえ、彼女の夢ではありません-AM4 Remix-」。(改めて聞きながら)...悪くないんやけどなぁ。モジュラーを初めてあてたときの興奮が録音できなかったな。悔しい。

 

この曲は、ストーリー的にタイムリープものだから、verが何個もあって然るべきなので、「ギター主体でもう一個欲しいな」と別アプローチしてみてテトverとして、交Remixになったのを収録しました。

 

ギターの録音時は、discordで配信もしたんだけど、あの即興感がいい作用をして予想以上に良い仕上がりになった。うまく弾かないとダサいから、得意なフレーズを弾こうとした結果、自分の一番美味しいところが出た気がしてる。

 

「モジュラーシンセのランダム性」より、「ギター主体の肉体的」なアレンジが新鮮に感じたのがこの曲で浮き彫りになった。ただ、後半の音が嵐みたいになる部分に、AM4 Remixの名残を、白昼夢的に交ぜてる。ここはモジュラー実機の音が残ってる。アレンジが切り替わる静かなところは英語ミクを降霊させた。

 

英訳は、discordのメンバーおぽsのConnorさんに依頼して、作っていただいた。彼は、おぽ曲を愛してくれてるし、素敵なイラストも描いてくれて支えられてる。ありがとう。

​下にボツになったAM4 Remixを供養する。

Tr06. DOPE -閃 Remix-ft.巡音ルカ

SONICWIREのサンプル素材集企画で、リミックスしたverに手を加えて仕上げた。配信サイトの再生数などから、この曲は海外で人気があるらしく自主的にセレクト。

 

リンちゃまより、ルカの方がよりドープになるので、アレンジも暗め。モジュラー音はもとよりあてこんでない。

 

サンプル音源ってコラージュ的な手法で切り貼りして仕上げるんだけど、めっちゃめんどい。 モジュラーの即興性とは逆だと思ってる。近頃のわけえボカロPたちはお手軽にループ素材やできたプリセット音を使う(はたまたAI潮流)この手法だともうが、そりゃあプロっぽい音するよなとモヤることもある。話はそれるが、AI作曲の議論も上記の理由から興味がない。というか、自分で音を楽しんで作る時間を得て、教養としたい。

 

話を戻して。

 

ルカさんの調声は、レンに似てる。

ルカさんはEVECのライブラリはめっちゃ多くて。迷いながらも好きな声を見つけるまで時間かかった。

 

このリミックスの歌詞で気に入ってるフレーズの「午前4時のベランダに、光」は、ミステリー作家の歌野晶午さんのなんかの小説のくくりの一言が好きすぎてアレンジした。なんやったかなぁ、あの本のタイトル。午前4時に後光が刺す非現実の幻覚たるや。UFOかもしれん。車のヘッドライトかもしれん。あるいは爆撃かも。歌野さんはミステリーだから全然ちがう表現だから誤解なきよう。

 

話は逸れて、歌野正午さんの本でオススメは、

「密室殺人ゲーム王手飛車取り」です。葉桜〜とかもいいけど、10代のおぽsに勧めたい。

 

話戻して。

仕事じゃなかったらやらんかった方法で生み出した良アレンジで、

「やはりてんさい….」とスラムダンクの桜木花道になったわい。

 

下記は、SONICWIREサンプル企画のページ。

https://sonicwire.com/news/blog/2022/11/minusp-samplepack-tips

Tr07. Curtain -閑 MIX- ft.初音ミク

EZ KEYSのレビューでリミックスした。原曲はオレのソロのMEIKOの曲で、ROCKよりのアレンジだったわけだけど、Vanessa Carlton的なピアノロックを全面に押し出した。

 

ミクdarkだったかな?soft?この子の調声はやりやすいわ〜

っていうか、ほぼベタ打ち。

MEIKOはあの声出すまで1週間はエディットするけど、

ミクは2時間くらい。

 

ドラムの音色が、タイトでイケてる。BLOC PARTYのSilent Alarmの時のドラマーのマット・トンが叩いた音みたいな音が作れて最高。つかったソフトはEz drummer3のTight drumの音が基本。

この曲でどうこうというわけではないけど、ピアノはマイブーム。

ラーニング中。

 

リンク先は、SONIC WIREのEZ KEYSの企画ページ。

https://sonicwire.com/news/special/interview_ezkeys2_minus-p

Tr08. BUNKA開放区 -鋭 Remix- ft. 鏡音リンレン

リミックスを始める前に、原曲を聞いて拙い部分が多く感じて当時やりたかったことを今の技術力でオリジナルそのままの方向性で進化させたいなと思い、こうなった。

原曲との期間がこれくらい空くと技術向上を感じてもらいやすいと思う。なんか音がバシ〜ってきて、スパーンってなってるでしょ。

 

リミックスというか、リテイクですね。去年のにっこりシングルのときの「しんなさ」と「ぼうしょ」とおなじかんじ。

 

ギターとドラムの音色作りに新技を駆使した。これは次作以降に使えると思った。

 

これは全体に言えることだけど、​マスタリング用のアウトボードにTegeler Audio cremeを入れたらより生き生きとした音になった。

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ipadの下の横長のやつ。コンプレッサー+EQ。音に厚みと立体感が増す。ドイツのメーカーでまだ日本ではそこまで流行ってないけど、海外ではキテる。付箋に曲名書いてツマミをメモしとかないとリコールできない!!だが、そこがいい!

Tr09. SI・RI・TO・RI-夜Remix-ft.初音ミク

今回のアルバムの起点になったリミックス。RadioheadのEverything in its Right Placeみたいにしたかった。原曲はリンvsレンのしりとりだけど、ミクvs NPCの設定で、ロボット声に。加工元のキャラの声は忘れた。地獄の難易度しりとり対決。

ミクDarkV4Xでほぼベタ打ち。全てソフトシンセ。

 

やっぱりピアノ入ってるんよな。ここにも。(サビ)

改めて聴きながらこの文章書いてるけど、次の刺激の答えが炙り出てるのかもしれん。…

Tr10. IWAKAN - 朔 Remix- ft.花隈千冬

れおんちゃんからのリクエスト。シンセウェーブ感を全面に出した。METAFIVEとかTESTSETをよく聞いてた時期で影響あるな。IWAKANは原曲がリミックス感のあるアレンジだから、かなり苦労した。ロックバージョンとかやってみたけど、うまくいかず現状に落ち着いた。歌手の選定は、この曲のために花隈を買ったような記憶が。ほぼベタ打ち。てか、リンレンもSynthesizer V AIでも出して欲しいな。いや、それだけだと困るけど。

 

今思えば正直もっとできたかなと思ってる。今のオレにはこれが限界だった。原曲アレンジがよく出来すぎてる!!マイナスP=重めROCKのイメージを覆すために必死だったからな。今思うとまたギターに回帰しつつある。ふらふらチャラくてすまんね。

 

シンセリードのオリエンタルな5度フレーズは、気に入ってる。

自分でリークするけど、この5度オリエンタルなフレーズがVOL.20のヒントになって制作を進めてる。日本人がつくった日本人らしいフレーズをフィーチャーした、有機的なサウンドがするアルバムにしたいと考えてる。今は。

スクリーンショット 2024-04-03 12.07.01.png

手持ちのSynthesizer AIのライブラリ。増えた。

Tr11. SSD GIRL- 鮮 Remix- ft.リンレン

マリリンちゃんからのリクエスト。このアレンジも原曲の延長線上にあるもので、突飛なものではない。リンレンV4X化して、それに合わせて当時やりたかったサウンドを今の技術でリビルドした。ただ、原曲のサンプリングの荒削りな部分などは再現不可能で、拙さが故の産物ということに気づき、苦悩した。サウンドの技術向上とフレッシュさはトレードオフだなと再確認した。AVENGER2で音磨きとボーカルグリッチ要素をいれて好みに仕上げた。

 

今思えば、オリエンタル方向に仕上げてもおもしろかったかもしれん。

マリリンちゃんの好きな音楽の趣向にあうように仕上げたつもりだが、うまく出来たか気がかり。リアクションを見かけないのでうまく出来てなかったのだろう。

 

下記は、AVENGER2の記事。

引用:https://sonicwire.com/news/special/interview_avenger-2_minus-p

C、アートワーク

ワンオポvol.01からお世話になっている、SHARKさんに依頼。REMIXということで、つぎはぎ感のあるメカキャラで、ミクっぽいようなリンっぽいようなキャラクターで、と相談してこのアートワークに。SI・RI・TO・RIのデモリミックスを聴いて頂いて着手して頂きました。お忙しい中対応してくださって感謝の気持ちでいっぱいです。近頃のワンオポはグライダーさんxじーざすがメインなので、逆に新鮮っしょ。

 

タイトルロゴも作ってもらい感動!

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​一目でSHARKさんのイラストとわかる素敵絵。サウンドにぴったりです。すき。

​SHARKさんによる制作初期段階ラフ画。下にSHARKさんのXのフォローリンクを貼っておく。

D、総評

おぽs達のアートコンテスト優勝者のリクエストを受けて、新譜の糸口をつかむために完成に至ったが、その目論見は達成した。ただ、もっと時代にアジャストして多くの人に聞かれるものを作りたい気持ちと、このアルバムのように自分の好きなものだけ作っていたい気持ちのジレンマも浮き彫りになった。すでにワンオポとして15年がすぎて、書いてきた曲数が3桁超えると似たような曲やネタが、多くなってくる。ワンオポの曲をきいて懐かしい、っていうのは有り難くもあり、焦りも感じる。「懐かしい」て!...まぁ、わかる。そう言われたくなかったらやらないといけないことは、修行しかないのでこのアルバムのように「模索」するわけで。この模索アルバムが、今後どのように効いてくるかは、未来の音源を聴いてもらえたらわかると思います。

シンセでああだこうだやったわけだけど、この音源で消化不良だったところは満足したので、VOL.20はギターとベースとドラムのロック的なサウンドが主体になるかな。AlienとかIWAKAN朔とかで出てきたオリエンタルフレーズも突き詰めたい。

動画投稿も少ないし、SNSでもおもしろいことあまりできてないし、discordでも前みたいに遊んだりできてないけど、自分達の領分と裁量で楽しみながら楽しませたいと思っています。最後になるけどいつも応援ありがとな。今年の9月に15周年になるので皆への感謝の気持ちを何かの形にしたいと企画も進めています。

 

まずは、夏に出るであろうVOL.20に期待してくれ。ここからまた新たに始めるつもりで頑張ります。

--

​マイナス

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